2025年4月1日、沼野雄司が桐朋学園大学音楽学部・学部長に、清水和音が桐朋学園大学大学院音楽研究科・研究科長に就任いたしました。

学部長メッセージ

 大学という場所がわたしは大好きです。

 この場所では、誰もが探究者であるがゆえに、あらゆる上下関係はいったん棚にあげられて、皆が同志になります。そしてまた、誰もが探究者であるがゆえに、既存の常識や価値観のすべてはいったん疑われ、あらゆる角度から検証されることになります。こんな自由な場所は世間のどこにもないと強く感じます。

 この「自由」という理念を、桐朋学園は創立以来、とても大事にしてきました。いったん校舎に入れば、高校生も大学生も教員も職員も、みな同じ。もちろん礼儀はとても大事ですが、根本的には皆が平等である点が、桐朋学園の最大の強みです。これまで多くの卒業生が社会に羽ばたいていきましたが、彼らの一人一人を思い出してみてください。ほら、どこか「自由」な印象があるでしょう?

 わたしたちは、この自由を守るために最大限の努力を惜しまないつもりです。一緒にこの場所で、徹底的に学び、遊び、楽しみ、時にはもがきながら、新しい自由を勝ち取っていきましょう。

桐朋学園大学 音楽学部

学部長 沼野 雄司

研究科長メッセージ

 音楽家にとって、教育の場がもつ意義とはどこにあるのでしょう?

 演奏家という立場からみれば、これまでアカデミックに勉強してきた理論的な事柄を、自分のフィーリングに融合させられるかどうか。知識として得てきたことを、自分の感覚に落とし込んで体感できるか、ということが重要です。

 無数の情報が手軽に得られる世の中になりましたが、なにが大切かを見究めること、そして必要なことを身体で覚え、自らの表現とすることが、演奏家には求められます。

 偉大な先人たちの功績を踏まえつつ、自身の鍛錬や知見を通じて、さらなる歩みを遂げる意味では、作曲という創作分野、音楽学の研究においても大きく響きあう面があると思います。

 教育機関の存在価値はなにより、同じことを目指す人間が周りにいること、しかも優秀な人がたくさんいることです。演奏、作曲、研究と、それぞれに方法は違っても、音楽を深く学ぶ友であることに変わりはありません。同じMusic Dweller――音楽の世界の住人として、ともに生きている仲間こそが一生の宝物となるでしょう。

 大学院は、学生と教員がともに研究をする場です。教員はサジェスションこそしますが、コーチをするのではありません。自立した立場で、お互いに演奏を深めていくことが主眼ですから、教員に刺激を与えるほどの学生を本研究科は歓迎します。

 なにより、私たちにとっては、歴史に残る素晴らしい作曲家の隣にいることが最大の喜びであるはずです。偉大な音楽家との時間を共有していることのありがたみをつよく実感してほしい。

 素晴らしい芸術作品の近くに身をおいて、自らをみつめ、ともに音楽の未来を拓く仲間になってくれることを願います。

桐朋学園大学 大学院音楽研究科

研究科長 清水 和音